ショートショート3「意識高い系のシャワー」

私はシャワーである。

 

シャワーというのは水やお湯を適当な強さ、水量で使用者の体に当てる役割を持っている。非常に単純な作業ではあるものの、意外と難しいのである。隣の山田さんのお宅で活躍しているシャワーと会話する機会があって、その時にそのシャワーは愚痴をこぼしていた。どうやら、ちょっとでも弱い水量になると山田さん(特に奥さん)がメチャクチャきれるらしい。

 

私はそんなことにならない。旦那さんや奥さんの顔色を見ながら、つまり顧客満足の視点で水量や強弱はもちろん、水の太さを一本一本変えているのである。これだけの意識を持つシャワーは世界中探してもそうそういないと思う。間違いなく旦那さんと奥さんの心を鷲掴みにしていることだろう。

 

 

 

「ねえ、あなたー?、最近シャワーの出、悪くなーい??」

「そうだなー、そう言われるとそうかも。」

「今日、ホームセンターでシャワーヘッド買ってきたんだけど取り換えていい?」

「いいよ。」