ショートショート2「巫女がコンビニで買いたいもの」

その日、いつも通りコンビニでバイトをしていた。

 

コンビニは今や何でも販売している。食品、日用品はもちろん銀行ATM、各種チケット、郵便ポストさえある。コンビニで手に入れられないものなんてないんじゃないか、そんな風に思っている。

 

そんなコンビニでレジ打ちをしていたあの日に、巫女がやって来た

 

巫女独特の白衣と緋袴という出で立ちで入り口から入ってきたのだ。巫女さんがコンビニで何を買うのだろうか?まあでも、コンビニに無いものはない。お求めのものをすべて揃えることが出来るだろう。お神酒だって日本酒があるし、捧げ物である野菜もある。心配ない。

 

たが、巫女はひたすら商品を探している様子。欲しいものがないようだ。いやいや、そんな事はないはずだ。必ずある、欲しいものは。

 

巫女が意を決したようにその店員に話しかけてきた。

 

「あのー、・・・。」

「何でしょう?ウチのコンビニでは何でも取り揃えていますよ!」

「・・・・・・、玉串奉奠で使う日本最高級の榊はありませんか?」

「それはさすがに、無いっす笑。」